2011/07/19

笑って許して

 少し遡って、展覧会にあたふたしていた真夏日真昼間。

大勢の人でごった返す某駅前で、ホームレスと思しき男性が、
15メートルほど先から何故か私めがけて直進してきた。
そして満面の笑みを浮かべてこう言った。

「一週間何にも食べてないんで、お金をください」

ものすごく迷った。
たぶん嘘なんだろうなと思った。だってビニール袋からパンが見えたもの。
でも嘘でもいいかなあと思った。そういう笑顔なんだもの。

それでも結果、渡さなかった。
私も区役所に医療費の助成金の申請をしに行く立場だったから。
なので、一緒に相談しに行かないかと誘ってみた。
しかし当てが外れたと分かると、笑顔のまますっと立ち去って行った。

それから区役所の行き帰りごにょごにょと考えた。
相談先は区役所じゃなくてホームレス支援団体だったかなあとか、
この辺だとどこがいいのかなあとか。
帰り道にまたおじさんがいたら話してみようと思って、駅に戻り探してみると、いた。

おじさんは私と同じくらいの女の人から、ちょうどお金をもらってるとこだった。
相変らずとびっきりの笑顔だった。
私はそのままギャラリーに向かった。