2011/03/18

君の名は

一昨日の夜のこと。
通常通り仕事を終え、余震も怖いし冷え込んでいるしで、いつもの倍速で家路を急いでいたのだが、もうすぐ家というところで暗い脇道から、ジョリジョリジョリ、ジョリジョリジョリと何かをゆっくり引き摺る音が聞こえてきた。
何だろうと思って音の方向を窺うと、砂利道で見知らぬおばあさんが食器棚らしきものを引き摺っている。毎秒1センチぐらい。

あら大変とお手伝いを買って出て2、30メートル先のお宅まで何とか運び入れ、たいそう喜んでいただいたのだが、よくよくその食器棚を見ると粗大ゴミのシールが貼ってあった。
あ、これ他人様のゴミ拾ってきちゃった?と瞬間戸惑ったのだが、お歳を聞けば90歳。物を大切してきた世代だものなあと納得。

一仕事終えてその後寒空の下40分ほど世間話をしたのだが、おばあさん、地震については「私は花に水やってた、関東大震災かと思ったよ~」の一言で、あとは満面の笑みでもって、ひたすら園芸の話をしていた。

「ここにはさくらんぼも夏みかんもいっぱいなるの。あげるからね、必ず寄ってね。」と言ってくださって、「お名前は?」と5、6回聞かれた。
別れ際手を振りながら「あれ、名前なんだっけ」と、も一度聞かれ、きっともう夏みかんは私の手元に届かないからお気持ちだけ頂戴しますと心で返答しながら帰った。でも心和むいい時間だったな。